MVPなんてちっぽけな考えは捨てろ
今朝の「今日の一言」で、「一人出版社が、技術やデザインだけに依存せず、思考法を学び「小さく、素早く」実行するワークスタイルを身につけられたのは「リーン(Lean)」と「Harvard Business Review」のおかげ」と書きましたが、2015年は過去の膨大な書籍や文献を掘り起こしてきた一年間でもあったと思います。
このワークは現在も続いています。
リーンについては、2013年末のブログ記事にまとめていますので掲載しておきます。
「ウェブの大海原から読者を探し確実に届ける仕組みと、電子出版専門の出版社をつくる方法」
一人出版社では、リーンの概念を継承・発展させながら、最も適した手法を実践していますが、「真逆の考え方」についても知っておく必要があると思い、著名なキーパーソンで誰かいないか探していたのですが、いらっしゃいました。しかも大物。
知らない人はいないと思いますが、起業家であり投資家のピーター・ティール氏です。
シリコンバレーでは、ペイパル・マフィアのドンと言われていた人物。
ちなみに、なぜ「ペイパル・マフィア」と呼ばれていたかというと、2002年に15億ドルでイーベイに売却した後、ペイパルの初期のメンバーが新たに起業して成功を収めてきたから。
初期メンバーです。
リード・ホフマン(Linkedin)
デビッド・サックス(Yammer:ヤマー)
ジェレミー・ストップルマン、ラッセル・シモンズ(Yelp:イェルプ)
ピーター・ティールについては、テック系のブログメディアなどで知る程度でしたが、著書の「ZERO to ONE 君はゼロから何を生み出せるか」(NHK出版)を読み、どのような思考で活動しているかわかりました。
第2章に「バブルの苦い薬」という節があって、リーンについて書かれています。
スタートアップ界の戒律となったリーンに対して、こう述べています。
“むしろ正しいのは、それとは逆の原則だ。”
投資家の瀧本哲史さんも序文で以下のように書いています。
“ティールの主張で最もコアとなる部分は、「リーン・スタートアップ」と呼ばれる今流行りのコンセプトとは真逆である。”
リーン・スタートアップの「必要最小限のプロダクトをリリースし、仮説検証を何度も繰り返しながら、改善していく、最初の計画を遂行するより柔軟性を重視する」という考え方に対して、「しっかり計画しろ!」「大胆に賭けろ!」「MVPなんてちっぽけな考えは捨てろ」という主張。
競争して勝ち抜くのではなく、競合を存在させないほどの圧倒的な「独占」を重視するというスタンスなのです。
エネルギーや人工知能、航空宇宙などの分野で注目されているスタートアップに投資しているティールらしいスケールの大きさを感じますが、ちょっと敷居が高いかな。
「ZERO to ONE」は、革新的なテクノロジーに賭けるピーター・ティールのダイナミズムから「活力」を得ることができ、お薦めの一冊ですが、私の場合は、引き続き(ちまちましてますが)リーンで発展させていこうと思います。
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