一人出版社の短文メモ帳

一人出版社 Creative Edge School Books 緊急用(2015年12月12日から開始)

「より少なく、しかしより良く」エッセンシャル思考

シリコンバレーコンサルティング会社THIS Inc.のCEOであるグレッグ・マキューン氏が提唱する「エッセンシャル思考」。

この思考法は、やるべきことを計画的に減らし、すべてをコントロールできるようにし、質の高い作業をしていこう、というものです。

「より少なく、しかしより良く」という表現でこの思考法を言い表しています。


エッセンシャル思考は、まず取捨選択のための「評価」を行い、重要でないものをばっさりと「捨てる」、そして確実に「実行」していくこと。

対して、非エッセンシャル思考は、評価をせず、何もかも重要なことだと思い込み、全部こなそうとして、結果的に中途半端な作業をしてしまうこと。

エッセンシャル思考では、「トレードオフから目をそむけない」ことを重視しています。トレードオフは当たり前の現実として受け入れた上で、取捨選択をする。

必要だと思っていた作業をばっさり捨てていくのですから、捨てたことで新たな問題が発生することもあるわけです。でも、それも織り込み済みで。


ただし、ロジカル・シンキングとは異なる「複雑な問題を複雑なまま受け入れながら」ものごとを解決していく統合的思考(Integrative Thinking)という考え方もありますので、ぜひ比較してみてください。
PodcastiTunes Link http://t.co/eX4PYWdqns )で何度も紹介していますので、ご興味があればお聴きください。


最も重要なところは、第17章の「前進 --- 小さな一歩を積み重ねる」と、第18章の「習慣 --- 本質的な行動を無意識化する」ではないでしょうか。

リーン・スタートアップのMVP(必要最小限の製品)の考え方を借りて、「実用最小限の進歩」と表現していますが、早く、小さく始めて、最小限の進歩を確実に重ねていこうということです。

私がいつも書いている「夢は大きく、目標は小さく」に共通するところがあります。
ただ、エッセンシャル思考には、「早く失敗」して「早く学ぶ」プロセスについては触れていませんので、やや物足りなさを感じます。


もう一つの「習慣化」。
ここでは、金メダリストの水泳選手(マイケル・フェルプス)がいつも決まった行動を繰り返すことで、習慣が身につき、無意識化で最高のパフォーマンスを発揮しているという例を取り上げています。

何度も反復することで習慣化が可能になりますが、間違った習慣が身についてしまうと厄介なので、スポーツ選手のようにコーチが必要なのかもしれません。ただ、そうなると個人では無理ですよね。

一人出版社のようなスモールビジネスの場合は、まずは「小さな一歩を積み重ねる」から始めて、失敗と学びを繰り返しながら、自然と習慣化されていくのが安全な流れでしょうね、やはり。


その他、本書にはエッセンシャル思考を実行するため、具体的にどんなことをやればよいのか、さまざまな事例を交えながら、簡潔に書かれており、スッと頭に入ります。つまり、短時間で読めます。

ただ、グレッグ・マキューン氏の今までの経験がベースになっていますので、調査結果のレポートや研究データなどはありません。


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