一人出版社の短文メモ帳

一人出版社 Creative Edge School Books 緊急用(2015年12月12日から開始)

厄介なのは、9割「真実」1割「創作」の記事

デザインスクールのデジタルマーケティングの授業で、「アテンションスパン」という用語が出てくるとは思いませんでしたが、今は学生でも知っておくべきことなのでしょう。

アテンションスパンとは、注意持続時間のこと。

マーケティング分野におけるアテンションスパンというのは、目にしたものを把握するまでに要する時間を表すことが多いようです。
人間が認知可能な最も短いアテンションスパンは、9秒と言われています。

SNSで消費されるニュースなどは、「見出し」の重要性が異常なほど高まっているということですが、45年前からそれほど変わっていないとも言えます。


1970年代半ば、週刊誌の発行部数の4〜5割は、首都圏(東京、神奈川県、千葉県、埼玉県)で販売されていました。一億総サラリーマン化と言われていた時代ですね。
その2〜3割は「通勤電車」で読まれていました。

週刊誌の定期購読者(5〜7割)以外は、記事の「見出し」をみて、買っている人たちなので、見出しのインパクトはとても重要だった。

過激で断定的な見出しが増え、センセーショナルな造語がたくさんつくられました。

1970年2月からスタートした週刊ポストの「衝撃の告白」シリーズは、過激な見出しで、発行部数を40万から70万台に伸ばしたそうです。

ただ、東京スポーツのレベルになると、読者を釣るための過激な見出しは、娯楽化し、「ゴルバチョフ暗殺!?」と報じても、「ゴルバチョフが殺されたのは何度目だっけ」などと、そのばかばかしさがエンターテインメントとして許容されるようになっていく。

友人や職場の同僚と、「またゴルバチョフ殺されたよ」「すごいな、東スポ」などと、あれこれ雑談できることが、この記事の「価値」であり、真実ではないことがわかっていても、売れるわけです。

現在のネットニュースも、大袈裟な表現が娯楽性を醸し出しているメディアありますよね。コメントでつっこみたくなることが、ゲーム性でもあり、エンターテインメントになっています。


釣り狙いの見出しは、信頼性を損なう可能性がありますが、その判断はとても難しい。

厄介なのは、9割「真実」1割「創作」の記事です。

記事の1割に満たない「衝撃的な部分」だけ作り話。
これは、なかなか見破れませんので、大半の読者は真実として受けとってしまいます。その解釈が、記事を読んでいない人たちにも伝播していく。

私たちが、多くの人に情報を伝えるとき、難解な言葉を理解しやすい言葉に変換したり、新たな表現を加えることで、記事のクオリティを高めますが、多少やり過ぎてしまうことがあります。

推敲のとき、「あっ、この書き方だと真逆の主張になっちゃうな」「刺激的な記事になるけど、勘違いする人多いな、これは」などと、修正していきますが、演出が「作り話」にならないように注意する必要がありますね。


ちなみに、先日書いた「情報発信の4つのタイプ( http://thinkzero.hateblo.jp/entry/2015/12/12/133116 )」では、マイクロブロギングが9秒以内で消費できる最も短いコンテンツで、イマーシブが2分から15分、プロダクトがじっくり読みこんでもらうコンテンツ群という感じです。

このブログは、マイクロブロギングとイマーシブの中間に位置付けていて、Twitterの10連投くらいを基準にしています。

現在は、AIで最も反応のよい「見出し」を学習しながら、同じ記事を複数の見出しで配信する時代です。
発信した情報を、自分の身内の範囲を超えて、伝播させるのはなかなか大変。

一人出版社では、小さな情報をこまめに配信しながら、時間をかけてイマーシブに引き継いていく、というやり方を実践しています。


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